今回は自クラブのことと言うより、日本サッカー界をマクロに見た時に考えるテーマについて書きます。

知識不足なところもありますが、23区内にJクラブがあればこんな事が起きるかなと思ってます。

Jクラブの現状

Jリーグが1993年に創設されてから30年以上が経ち、JクラブはJ1からJ3まで総勢60クラブになりました。

まだJクラブが無い都道府県(三重、福井、滋賀、和歌山、島根、高知)もありますが、大半の都道府県にはJクラブがあります。

そんな中、首都東京には現在3つのJクラブ(FC東京、東京ヴェルディ、FC町田ゼルビア)がありますが、

そのどれもがメインの活動拠点は東京都の23区外となっております。

なぜ23区内を本拠地とするJクラブがないのか
①歴史的な背景

Jリーグが設立された当初、日本サッカーリーグに参加していた多くのクラブは、企業のサッカー部として活動していました。

プロクラブ化に際して、「地域密着」を謳うJリーグの理念に沿って、企業のサッカー部から地域密着型のクラブへと転換しました。

わかりやすいこととして、Jリーグではクラブ名に企業名を載せることがNGとなっていますね。

地域密着型のクラブを創るに当たって、企業は自社の拠点や工場がある地域を本拠地として選ぶことが多く、

東京都23区内に本社や工場を持つ企業は少なかったため、自然と23区外や他の都市を本拠地とするクラブが多くなりました。

②スタジアム問題

これが最も大きな理由となりますが、Jリーグでは各カテゴリー毎に収容人数など試合を開催できる基準を設けております。

それをクリアしているスタジアムが東京都23区内には非常に少ないです。

J1の試合を開催することができる基準を満たしているスタジアムはなんと現状、国立競技場のみとなっています。

そして国立競技場での試合開催は非常にコストがかかるため、各クラブでの単発試合はよく開催されておりますが、

ホームスタジアムとして定期的に使用できるようなクラブはありません。

その他、「味の素フィールド西が丘」「駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場」「江東区夢の島競技場」などもありますが、

収容人数であったり、設備の問題などでJ1の試合開催は難しい状況です。

③土地確保の問題

そして②と連動した話で、「無いのであれば創れば良いじゃないか」となっても、

地価の問題や、人口密度が高い中で広大な土地を確保するのが難しい上、既存の土地利用計画との競合もあります。

東京ドームや神宮球場など、23区内にあるNPBの野球場は、歴史的に先に非常に良い立地を抑えることができました。

とはいえ23区内を本拠地とするJクラブ創りは進行中

前述の通り、23区内にJクラブを創るためには、幾つもの難しい課題があるのですが、

それでも23区内にJクラブを創る動きはあり、近年その動きは加速しています。

①Criacao Shinjuku(クリアソン新宿)のJ3クラブライセンス交付

2005年から活動しているクリアソン新宿は、Jリーグに一歩手前のJFLまでカテゴリーを上げて来ました。

「新宿」への地域密着を謳って、新宿区にある国立競技場で度々試合を開催しております。

そして何より素晴らしいこととして、去年クリアソンには、Jリーグから「J3クラブライセンス」が交付されました。

一方でJリーグからのリリースでは下記の記述もあります。

「クリアソン新宿は施設基準に課題があるものの、東京23区というホームタウンの特性に鑑みJ3ライセンスの交付を決定しました」

継続した課題がありながらも、23区内を本拠地とするクラブとして初めてのJリーグライセンス交付であり、非常に歴史的なニュースだと思います。

今シーズンは成績面でかなり苦労していますが、今最もJリーグ入りに近い23区内のクラブではないでしょうか。

②葛飾区の南葛SCホームスタジアム建設計画

葛飾区が2024年春にJR総武線・新小岩駅近くの敷地を取得しました。

これは現在関東1部リーグに所属する南葛SCのホームとなるサッカー専用スタジアムの建設を目指したものです。

南葛SCはあの「キャプテン翼」の作者高橋先生をオーナーとして、

監督には風間八宏さん、選手にも稲本潤一選手や今野泰幸選手、大前元紀選手がいるなどビッグネームが多数在籍しています。

このスタジアムは、J1基準を満たす1.5万人収容となる予定で、

23区内で初めてのJ1基準を満たす特定クラブのホームスタジアムが誕生すると、それも素晴らしいニュースになりますね。

③国立競技場での開催実績

クリアソン新宿のように、これまで複数回国立競技場でJリーグの試合が開催されて来ました。

2024年も「THE国立DAY」という名目で13試合をJ1とJ2で開催します。

それは明らかに国立競技場での試合に集客力があり、Jリーグにとって新規観戦者の獲得に繋がるメリットがあるからです。

2023年のJリーグ試合@国立(8試合)では、平均5万人以上の観客が来場しました。(J1全体2023年来場者数平均:1.9万人)

もちろん「国立」というブランドも大きな理由ですが、23区内には全体人口が多いため、観客数が増えるのは当然の結果です。

実際に6月のクリアソン新宿対FCティアモ枚方では、平日ナイターでJFLの試合にも関わらず、来場者数1万6,480人を記録しました。

平日の夜でも23区内であれば観客が集まりやすいことは間違いないと思います。

次回予告

少し長くなってしまったので、続きはまた来週にしようと思います。

次回は、23区内を本拠地とするJクラブ誕生のメリットや他国の事例について書いてみようと思います。