前回はタイトルの内容を考えるにあたっての前提状況を書きましたが、
今回は、23区内を本拠地とするJクラブ誕生のメリットや他国の事例を書こうと思っていましたが、
その前提として、サッカークラブのお金の仕組みについて書く必要がありました。
サッカークラブの価値向上サイクル
23区内を本拠地とするJクラブ誕生のメリットを考えるにあたって、
まずどのようにサッカークラブの価値が向上していくのか書きたいと思います。
サッカークラブは、サッカーというコンテンツを直接または間接的に人に見せ、そこから得られる無形価値の対価をもらうという構造になってます。
得た対価をコンテンツの充実に当て、更なる価値向上を目指すという流れですね。
そのため鶏と卵ではありますが、ただコンテンツであるサッカーを頑張れば良いのではなく、
必ず「ビジネス面」と「ピッチ面」の両輪が上手く回る必要があります。
サッカークラブの収入
では「ビジネス面」において、サッカークラブの収入源は何があるのか、主なものを書きます。
サッカーに関わる人からすれば当然の話ですが、色んな経営者の方々と話すと知らないことが多いです。
①スポンサーシップ
Jクラブ平均:約40%〜50%
スポンサー収入は最も重要な収入源の一つで、売上全体の約半分を占めます。
各クラブが地元企業や大手企業とのスポンサー契約を結んだり、親会社からの支援としてスポンサードを受けていたりします。
②チケット販売
Jクラブ平均:約20%〜30%
これは観客動員数によって大きく変化するため、大規模スタジアムを使用するクラブほど割合は大きくなります。
③放映権料
Jクラブ平均:約10%〜20%
Jリーグではまず全体に収入が入り、それが各クラブに分配される仕組みになっています。
プレミアリーグを始めとするヨーロッパの主要リーグと比較すると放映権料の割合は比較的低いです。
④商品販売(マーチャンダイジング)
Jクラブ平均:約5%〜10%
グッズやライセンスとしての収入です。クラブのブランド力が左右する部分です。
⑤選手の移籍金
Jクラブ平均:約5%〜10%
若手選手の海外移籍や他クラブへの移籍による収入です。
最近は若手選手がヨーロッパに移籍するケースが増え、移籍金も徐々に全体的に上がって来ています。
⑥その他の収入
Jクラブ平均:約5%〜10%
その他として、女子チーム、スタジアム内売上、アカデミー事業、イベント収益なども考えられます。
サッカークラブの支出
一方で、支出については、やはりコンテンツを作るために最も重要な人件費が大きな割合を占めてます。
そして営業利益を残すよりは、その資金をクラブ強化費に充てることが多く、収支はトントン近くになることが多いです。
①人件費(選手・コーチの給与)
Jクラブ平均:約50%〜60%
選手やコーチの給与、ボーナス、契約金などです。
2018年にバルセロナから移籍したイニエスタ選手の移籍金は約37億円で、
その年のヴィッセル神戸の売上が126億円だったので、1人の選手で約30%を占めたこともあります。
②運営費(試合運営・スタジアム維持費)
Jクラブ平均:約15%〜20%
ホーム試合の運営費やスタジアムの維持管理費用が含まれます。
Jクラブではスタジアムをレンタルしている場合が多いです。
③フロント費用
Jクラブ平均:約10%〜15%
クラブのフロントスタッフの給与やマーケティング費用、事務所運営費などが挙げられます。
僕がいたJFAでは約200名ほどのスタッフがいましたが、Jクラブでは平均30〜50名です。
少し前にマンチェスターユナイテッドがスポーツ面のオーナーが代わり、スタッフ250名を解雇したニュースがありました。
④育成・アカデミー費用
Jクラブ平均:約5%〜10%
将来のトップチームの選手を育成するためのアカデミー運営費や、若手選手の育成費用は重要です。
クラブによってはこの部分に大きく投資することもあります。
⑤移籍関連費用
Jクラブ平均:約5%〜10%
選手の獲得に伴う移籍金や代理人への手数料が含まれます。
次回予告
今回はJクラブの主な収支についての話で終わってしまいました。
サッカークラブのビジネス面について話は尽きませんが、続きはまた来週にしようと思います。